大きくする 標準 小さくする

てにすまん 高西ともブログ

スペインで試合漬け [過去の思い出]

投稿日時:2012/05/14(月) 07:56

スペインのバルセロナで選手活動していた時は
ほぼ毎週試合に出場していた。
多くのアカデミーがあって、そこには将来、
プロテニスプレーヤーを目指す若者が世界はもとより
スペイン各地から集まっていたから、そういう選手たちの
実戦を積む場として、大会がたくさん開かれて
いたんだけど、それを俺が行っていたアカデミーは
選手の知らない間にコーチが勝手に申し込むのだ。
 
だから、週末の休みを終えて、月曜の朝にアカデミーへ
練習しに行くと「トモ、試合だから車に乗れ!」なんて
急に言われて慌てて試合会場へ連れていかれることになる。
慣れてくると、そういうもんなんだと思って月曜の朝は
試合モードでアカデミーに行くようになったんだけど、
「そんなの聞いてない!!」ってコーチに食ってかかる
選手もよく見かけたよ。
でもコーチの言い分は「君は選手としてここへ来たんだろ?
だったら、試合に出場しなきゃ」と言って、また選手に何も言わず
勝手に申し込むのだ。
 
レベルはその時の大会によって色々だけど、勝ち上がれば
ATP持っている選手と対戦できたりすることもある。
フューチャーズなんかの国際大会と時期が重なっていない時は
世界ランキングで300位とか400位の選手も調整の場として、
出場してくる場合もあるし、賞金が付く大会もあったからね。
でもそこまで勝ち上がるにはまず、下手くそな選手たちと
1回戦、2回戦で戦わなければならない。
 
その下手くそなレベルって自分も含まれているんだけど、
そういう同じようなレベルの選手と、まずは泥試合の戦いを
行なって勝ち上がっていくと、やっと強い選手と出会うことが出来る。
だけど最初の泥試合の段階で勝てないと悲惨だ。
「あんなのに負けたの?」なんて周りの選手から言われたり
するし、自分でもわざわざスペインまで来て、なんで
こんなのに負けてんだろうってかなり凹むんだよ。
 
この大会には必ずアカデミーからコーチが付いてきて
試合を全て観てチェックしてくれる。
だから、誰が本番の試合でどういうテニスをして、
どのくらい結果を出しているのか分かっている。
この大会であまり勝てないようだと、アカデミーの中での
クラスも落とされてしまう。
逆に結果を出し続けると、上のクラスに入れてもらえるのだ。
こういうシステムは選手にとっても分かりやすくて
良いんだけど、勝てないと精神的にも結構キツいんだよ。
俺も半年ずっと勝てなくてどんどんクラスを落とされた
からね。
 
そうなると、この毎週ある試合に出場するのも
嫌になってくるんだよ。
エントリー代はさほど高くなかったと思うけど、それでも
出ては初戦負け・・・なんてのが続くと払いたくなくなるし
何より、コーチから評価されなくなるのが辛かった。
 
それでも毎週出場し続けた結果、半年経って徐々に
勝ち上がれるようになり、コーチからも「強くなったね!」
って褒められるようになった。
でも勝ち上がれない選手の中には「もう俺は出ない!」と
大会出場を拒否する選手もいた。
そんな選手は代わりに練習を気合入れて頑張ってたけど、
練習の出来はコーチも評価しないし、本人も練習だけでは
いつまで経っても自信を得ることは出来ない。
結局試合に出続けながら、周りからの評価も自分に対しての
自信も得ないとダメなんだって思ったよ。
 
どういう練習方法が大事か・・・なんて話になるけど
その前にこういう試合漬けの超実戦モードの環境を
作れるかが選手には重要。
でもせめて、当日の朝じゃなくて、2,3日前に試合があるか
どうかを教えて欲しかったなぁ。

トラックバック一覧

<< 2019年5月 >>

MONTUEWEDTHUFRISATSUN
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31