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てにすまん 高西ともブログ

アンダーサーブ使ってでも勝ちたかった [過去の思い出]

投稿日時:2012/07/17(火) 21:22

夏休みに入ると、だいたいどこのテニス部も
普段はなかなか出来ない部内戦を行う。
俺が高校の時にも、何度か部内戦を行なった。
俺の部内戦の戦績?
高校テニス部時代、負け無し!
入学して最初の部内戦で全勝してナンバー1となり
引退するまでその座を誰にも譲らなかった。
 
こう書くと華やかに高校テニス界にデビューしたような
感じに思えるかもしれないが、実際のところは
もっと泥臭く、カッコイイものではない。
そもそも俺が入った高校のテニス部には一つ上の
2年生が一人もいなかったので、まずは新入生だけの
部内戦だったし、その新入生は俺も含めて皆初心者。
その中でも俺は両親がテニスやっていたから、初心者と
言えども、年に数回はラケットでボールを打ったことが
あったから、その分だけ皆よりアドバンテージあって
ナンバー1になれたのだ。
 
でもこの一回目の部内戦の思い出はあまりない。
なんとなく皆で試合をやって、なんとなく勝った感じ。
一番印象に残っている部内戦は2年生になってからだ。
新一年生も交えての戦いなんだけど、それまで1年間
ナンバー1の座を守り通してきた俺としては、絶対に
負けられない戦いで、凄いプレッシャーだったのだ。
学校にはコートが2面しか無いから、部内戦は近くの公営の
コートを借りて行われた。
上位の5名でリーグを行い、最下位の人は更に下のリーグの
勝者と入れ替え戦を行う。
 
1年間ナンバー1を守り抜いた・・・と言っても、弱小テニス部の
ことだから、そんな大したテニスが出来るわけじゃない。
それはまさに、どんぐりの背比べであった。
それでも俺は「俺がナンバー1なんだ!!」って何度も自分に
言い聞かせて頑張った。
頑張った・・・と言っても、出来ることと言えば繋ぎ続けるだけ。
いつもは打ち抜く練習ばかりやってるクセして、こういう試合に
なると、バックだけでなくフォアまでもスライスで繋ぐしか
出来なくなるのだ。
 
でもどんぐりの背比べだから、相手も同じこと。
二人とも腕を縮こませて、ショートラリーのように繋ぎながら
シングルスをして相手のミスを待ち続ける。
そして相手がミスすると、まるでスーパーショットを決めた
選手のように「よっしゃー!!!!」と叫ぶ。
ピンチの時のセカンドサーブはもちろんアンダー。
そんなテニスで次々相手を倒したが、うーん・・・どれも
7-5とか6-4みたいな接戦だったと思う。
ほんのちょっとだけ俺の方が我慢強くて、体力があっただけ。
おかげでその部内戦も制して、ナンバー1の座を勝ち取ったのだ。
 
弱小テニス部のナンバー1という座。
そんな内容のテニスだったから、大して価値は無い・・・なんて
ことはなかったのだ。
ナンバー1になった俺は、とにかくその座を守るために
毎日のランニングを頑張った。
高2の夏休みに初めて体験したテニスコーチのバイトも
ナンバー1というプライドがあったから何とかトライできた。
自分のテニスには全然自信は無かったけど、俺は
この高校のテニス部ナンバー1なんだって、常に思うことで
前に進むことが出来た。
どんぐりの背比べでも、一番になったどんぐりはやっぱり
誇る権利があるわけだし、それをキッカケにして世界が
広がる可能性が出てくる。
そして俺はその後、テニスコーチに就職し、そこから
選手になり、プロになり、引退後もこうやってテニス業界に
飯を食うことが出来ている。
 
たかだか無名の高校の部内戦。
戦っている選手も無名だし、レベルも大したことない。
だけど戦っている選手たちは真剣だ。
「負けたくない」「勝ちたい」その気持ちがグルグル回り続け、
吐き気がするほどの精神的苦痛に襲われながら、
コートに立っているのだ。
俺はたまたま全勝という記録を作れたけど、負ける可能性も
十分にあった。
負けて、ナンバー1から転落していたらどうなっていただろう。
その悔しさをバネにして更に頑張っていたかな?
自暴自棄になって、テニスなんて辞めていたかも。
 
でも間違いなく、部内戦でナンバー1を勝ち取ったことで今がある。
高2までアンダーサーブ使わないとセカンドが入らなかったという
技術は明らかに練習不足なので反省しないといけないが、
それを使ってでも勝ちたいって、プライド捨てて思った当時の
自分には今でも「ナイス!」って思う。
全国のテニス部で行われている部内戦、それぞれ奥の深い
ドラマがあるんだろうな。
そして皆もその経験を糧に、色んなことへトライしてもらいたい。

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