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てにすまん 高西ともブログ

胃袋を満たせ [過去の思い出]

投稿日時:2012/11/05(月) 13:09

スペインに初めて行った24歳の時、1年間滞在して
選手活動をしていたんだけど、やっぱりその1年間は
色んなことがあったよ。
テニスなんて殆どダメだった思い出ばかり。
悔しい思いや辛い思いをし続けながら活動していた。
でもその結果、最後の最後にやっと報われた感じで
その1年間を終えることが出来たから、俺の中ではスペインに
行って活動したことはホントに良かったと感じている。
 
でもそうやって最後に結果が出るまで頑張り続けることが
出来たのは、やはり周りの環境に恵まれていたからだと
思うんだよ。
日本人の選手もいいヤツばかりで色々助けてもらったし、
他の国の選手やコーチたちも本当に最高の人達だった。
でもそれ以上に重要だったのは食事。
美味しい食べ物が沢山あって、コートで辛い思いをしても
胃袋は常に次の食事を楽しみにしていたからね。
 
俺が最初に滞在していたところは、ホームステイだった。
年齢は教えてくれなかったけど、スペイン人の老婦人の家に
選手3人くらいでホームステイしていたんだけど、その老婦人、
料理が最高に上手で、毎晩、前菜、メイン、デザートと手作りの
料理をコースで出してくれるのだ。
因みにパスタとかパエリアは前菜に入るから、まずは
ドーンとテーブルの真ん中にパスタなんかが置かれて、それを
モリモリ食べると、その後にドーンとお肉類が出てくるといった感じ。
練習は毎日きつかった。
きつかったけど、体重はむしろ増えていった気がするのは、
このおばさんの手料理がとても美味しかったからだね。
 
でも実はこういうホームステイってとてもラッキーだったのだ。
他のホームステイは茹でたパスタに塩をかけただけとか、
せいぜいそれにフライドポテト・・・というメニューだったり
したみたい。
いつも俺の滞在していたホームステイのメニューは皆に
羨ましがられていたよ。
 
この頃は、アカデミーもまだ小規模で、ランチもクラブの
レストランで食べることが出来た。
スペインの食事は一般的に前菜・メイン・デザートという流れで
食事するのだが、今日は前菜には何があって、その中から
何を選ぼうか、メインは何があるのかな、デザートは?というのが
最高に楽しくて、そのために午前中4時間のキツい練習も
耐えられるといった感じ。
毎日食べていると、何がオススメなのかも分かってくるので
新入りの選手なんかに説明してあげたりするのも楽しかった。
あまり日本人選手たちには好評では無かったけど、ここで初めて
食べたウサギは印象に残る味で美味かったよ。
 
よく選手仲間やコーチ達とも夜にご飯を食べに行ったり
したけど、食事はとにかくどこで食べても美味しかった。
ワインが大好きになったのも、この滞在の間に覚えたワインが
キッカケだね。
色んな料理を食べたけど、それがまたインパクトあるくせして
とても日本人には馴染み深い料理だったのだ。
 
半年間、その老婦人の家でホームステイしたけど、残りの
半年間はアパートに引越しして、日本人選手と一緒に暮らした。
その間の食事は自炊なんだけど、醤油も味噌もお米も手に
入ったから基本的に夜ご飯は和食。
これもまた精神的に良かったと思うし、それまでちょっと
その老婦人の手料理で食べ過ぎだったから、
ちょうど良かったかもしれない。
 
もともと食事をすること自体がとても好きで興味も
あったんだけど、このスペイン滞在の1年間で、より一層その
考えが深まった気がする。
毎日3度も食べる食事なので、それがとても充実していれば
例え辛い中でもがいて苦しんでいる状態でも、何とか
気力だけはその食事の楽しみによって、持続出来ると思う。
もちろんエネルギーも栄養も補給できるし、食事を皆と一緒に
とることで、仲間も増えていくからね。
でも肝心なその食事が口に合わないようだと厳しい。
スペインで出会った料理は、そう言う意味では、俺を楽しみに
させてくれたし、太らせてもくれたし、仲間も作ってくれて
本当に最高だったと言える。
 
テニスでこれから頑張りたい選手は、キツい環境に身を置かないと
いけないが、食事環境もしっかり整えたほうがいいよ。
そういうことを侮ってはいけないのだ。

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