大きくする 標準 小さくする

てにすまん 高西ともブログ

<<前へ 次へ>>
rss

俺って強いんだぞ!

[戦術] 投稿日時:2012/03/15(木) 06:46

生まれて初めて優勝というものを経験したのは
22歳の頃だ。
毎月開催されていた、たった3面のコートで行われる
小さな大会で、まずはリーグ戦を行い、上位がその後
トーナメントで戦うという、ワンデートーナメント。
 
ほぼ毎月出場しながら、徐々に戦績を上げ、優勝まで
たどり着くのに半年ほどかかったかな?
優勝したあとも、また次の月にはエントリーして出場
していたんだけど、優勝してからは周りの選手達の
俺を見る目が一気に変わった。
「あの人、先月の大会で優勝した人だ!!」
そんな感じで俺を見てくれる。
 
何しろ生まれて初めて優勝したもんだから、そんな風に
見られることが嬉しくてたまらない。
「そう、俺が先月大会で優勝した高西です」的な
感じで、選手皆が控えているクラブハウスでも
ちょっと周りを意識してストレッチしてみたり、他の
強い選手と「調子、どう?」的な話をしては、
「俺は、君らとは違うんだよ」って見せつけていた。
 
すると・・・テニスの試合内容も変わってきたのだ。
それまでは、格下の相手にも競ってしまう癖があった
俺のテニスなんだけど、優勝した次の大会からは、
弱い相手にもすんなり勝てるようになってきたんだよ。
 
その理由は、まず格下の相手が俺のことを
「優勝するほどだから、かなりスゴイ選手なはず!」
と過剰に感じてくれたことで、簡単に空回りして
くれるようになったこと。
それから、俺自身が前回の優勝者として、
余裕を見せつけたかったから、ムキにならず冷静な
プレーを心がけたこと。
ホントは内心
「先月優勝なのに、今月は予選敗退なんてどうしよう」
って気持ちがあったんだけどね。
 
でもこういう変化を感じてからは、
「ん?相手が勘違いしてくれると、勝ちやすいかも」
って思い始めたような気がする。
「なんか強そう」って雰囲気をコートだけじゃなく、
会場にいるときも作って見せたり、試合中にいかにも
強そうな選手に見えるように、堂々とラリーや
ネットプレーをこなしてみたり、とにかく「らしく」
見せることは勝敗に影響することが分かった。
 
それからというもの、自分を実力以上に見せることを
意識するようになったよ。
が・・・たまに、試合中に実力がバレて逆転されることも。
実力も必要ってことだね。
テニスって奥が深い。

ザーッと滑りながら追いかける

[技術【ストローク】] 投稿日時:2012/03/14(水) 18:28

日本のテニスコート、今ほとんどが
砂入り人工芝のコートになってきたね。
学校のコートはまだクレーが多いけど、新たに
砂入り人工芝で作るところが増えているみたい。
 
砂入り人工芝や土のコートで大事なのはフットワーク。
急には止まれないこれらのサーフェイスで、どれだけ
きっちりストップ&ゴーが出来るかが勝負にかかってくる。
そしてこのフットワークでキーポイントになるのが滑り具合。
バランス良く滑りながら、丁度ボールを打つタイミングと
ポジションに合わせて、ピタッと止まれると、まるで最初から
その場所にでもいたかのようなショットが打てたりするんだよ。
 
でもこの「滑る」という行為、あまりこの為の練習は
やった記憶がない。
俺自身のテニススタイルはコートの端から端まで
走らされるパターンが多かったから、プレーの中で
滑りながらボールを打つことはとにかく多かった。
でもそれは自然と身に付いたから。
滑りながらコート中を走り回る強い選手たちを見たり
一緒にプレーしていて段々と自分自身も出来るように
なったんだよ。
 
ではクレーコート王国、スペインで練習していた時は
どういう風にコーチから言われていたかというと、
「滑るな!最後まで走ってボールまで行け!」と
口うるさく言われた。
意外でしょ?
だから練習の時は出来るだけ滑らないようにするんだけど
むちゃくちゃハードな練習になると、滑らないとやってられない。
当然周りの超強い選手たちも追いかけながら、最後は
滑っているから、それをマネして俺も滑っていたよ。
「滑るな!」というのは多分「出来るだけ、ギリギリまで」
という意味だったと思う。
 
でもやっぱり、滑りながら追いかけて打つというプレーは
砂入り人工芝とクレーコートが多いこの日本ではかなり
必要なことなので使えるようにしてもらいたい。
マスターするにはまず、フットワークがいい選手たちが、
どうやって滑りながら打っているか見て真似することなんだけど
それ以外にも、低い重心とバランスの良い体軸、そして何より
一番大事なことは「打ち終わったらすぐ戻りたい!」という
気持ちを強く持つこと。
 
レベルが上がるほど、拾いまくって粘るテニスが必要に
なるから、滑れるようにしておいてもらいたい。
逆に言えばこれが出来れば格上の相手に対して
食らいついていけるかも。
ちょっと意識して練習してみよう。

1stサーブはスーパー2ndサーブ

[技術【サーブ】] 投稿日時:2012/03/13(火) 02:13

試合中、ストロークが入らなくなったらどうする?
原因は色々考えられるけど、まずは次に打つ時に
ショットの回転量を増やすでしょ?
回転が増えることで、ボールが落ちやすくなるから
ネットに掛かりにくく、そしてコートの枠に入りやすい
ストロークになる。
そうやって安定させることが出来たら、また回転量を
元通りの少ないショットにしていくというのが
よくあるパターン。
 
ということは、回転量の多い安定型ストロークと、回転量の
少ないパワー系ストロークは、基本的に同じ系統の
ショットであり、それを回転量で打ち分けていると言える。
だから打つリズムもスィングスピードも同じになり、ミスが
多くなって回転量を増やしても、また調子が戻ってきたら
パワー系に切り替えるという打ち分けがしやすいんだよ。
 
この考え方、サーブの時にも当てはめてる?
サーブって1stサーブと2ndサーブがあるでしょ?
ストロークの考え方でいくと、2ndサーブは回転量多めの
安定型になるから、1stサーブって基本的には
2ndサーブの打ち方で回転量を減らしたものという
考え方になる。
それを全く別物のサーブとして1stサーブ、2ndを
打っていると、どちらも崩れていきやすいのだ。
 
だから練習の時なんかは、まずは2ndサーブ的な
安定型サーブを練習しよう。
ストロークの練習の時も、まずはミニラリーなんかで
軽く回転の確認とかするでしょ?
あれと同じ感じで回転量多めのサーブをしっか練習し
徐々にそのイメージやリズムを維持しながら、
回転量の少ない攻撃型サーブに移行していくのだ。
 
そうやって手に入れた攻撃型サーブは、安定感を
損ないにくいから、超実戦的なサーブと言えるし、何よりも
ストローク同様、ミスが続いて崩れた時にも修正しやすく
元に戻しやすい。
だから試合の中でも安心感を得られるから、不安から来る
変な緊張感も少なくなると思うよ。
 
もちろん、試合中のどっかでたまに使う一番速い
超フラット系サーブなんかの場合は、ちょっとイメージが
変わってくるけど、そんなの毎ポイントの1stサーブで
使ってたら、入らないし、そのサーブによって2ndサーブも
イメージしにくくなるし・・・で大変なことになるぞ。
 
一度自分の試合のデータをチェックしてみよう。
もしかしたら、サーブの時に殆どフラット系1stサーブを
打っているが、案の定それが入らず、2ndサーブばかりで
サービスゲームをこなしているかもよ。
そういう人は大抵、2ndサーブもイメージが掴みにくく
なり、苦しんでいる可能性は高いね。
 
さぁ、まずは2ndサーブで使えるような
しっかり回転量多めのサーブを打ってみよう。
そして調子が上がってきたら、そのサーブの回転量を
徐々に減らしながら、フラットに近づけていき、そして
1stサーブを手に入れよう。
とにかく、1stサーブはスーパー2ndサーブって
ことだよ。

恐怖のヒッティングパートナー

[過去の思い出] 投稿日時:2012/03/12(月) 14:09

現在、いろんな場所でレッスンをしたりイベントを
開催している。
その中でデモンストレーションを行う機会は多い。
要するに「こうやるんですよ!」みたいなお手本だな。
どのショットも一応はちゃんとしたフォームで
打てなきゃいけないんだけどそれ以上に大事なのは
「わー!!!スゴイ!!」
ってプレーもある程度は見せないといけないこと。
 
選手活動の後半はオールラウンドのプレースタイルで
やっていたから、現在はとりあえずどんなプレーもこなすが
意外と20代の頃は、このイベントでのデモンストレーションで
やってしまった失敗経験が多いんだよ。
 
まだ20代前半の頃、働いていた横浜のスクールに
ある女子のトップ選手がイベントのゲストで来た。
その女子選手のクリニックの中で、当然彼女のプレーを
お客さんに見てもらうというデモンストレーションタイムが
あったんだけど、そこでヒッティングパートナーに選ばれた。
これはスゴイ光栄なことだし嬉しかった。
 
当時、上り調子だった俺は、勢いもあって会社からも
「期待の若者」って感じで見てもらえていたから抜擢されたの
だと思うが、ギャラリーも含め100名以上参加者が集まって
見守る中、その女子の選手と俺がデモンストレーションを
やると聞いて、正直本音はビビッていた。
だって、当時の俺のプレースタイルは「打ちまくり」。
相手よりも速いショットを打ちまくって、エースかミスか・・・という
テニスで何とか運良く勝っていたんだけど、そんなスタイルの
選手がゲストをたてなきゃいけないヒッティングなんて
務まる訳がない!!!
 
さて、当日、有名なこのプロの女子選手のレッスンを受ようと
多くの方が参加。
もちろんこの中には俺が受け持っている生徒さんもいる。
ギャラリーもビックリするくらい集まってしまった。
まずはこの選手の自己紹介と挨拶を行い、
「では、さっそく○○プロのプレーを見てもらいましょう!!」と
一番皆が見やすいコートで、俺とそのプロ選手は向かい合い、
コートの真ん中でストロークラリーが始まった。
 
その時俺はどんな感じだったかというと、
これまで味わったことがないくらい緊張していた。
全く足が動かない・・・・。
飛んでくるボールの距離がよく分からない・・・。
バウンドの場所や弾み具合ががよく分からない・・・。
そして、呼吸が出来ない・・・。
ただ「ちゃんとやらなきゃ、ちゃんとやらなきゃ」ばかり
頭の中をグルグル駆け巡って、過呼吸状態でラケットを
振り回していた。
 
結果、ラリー1,2球ですぐ俺がミス。
次もすぐミス、その次も、そのまた次も。
それを見て更に
「やばい、やばい、やばい、やばい!!!」と焦る俺。
場内も変な空気になってきたし、スタッフたちも
「おいおい、大丈夫?」って感じで俺を見ている。
 
そしてすぐ「高西、交代!」とヘッドコーチから言われた。
すごい長い時間に感じたけど、恐らく1分もコートには
立っていなかっただろうなぁ。
俺のあとヒッティングに入ったのは、俺より年上のコーチ。
落ち着いた雰囲気でプロ選手と楽しそうに打っている。
ショックだった!!!!!
ホントに惨めで、悲しかった。
大勢の生徒さんが見ている前で交代を宣告された自分が
情けなかった。
 
でも、これだけじゃなく、色んなイベントで色んな失敗劇を
繰り返しては悔しくて、情けない体験を味わった。
だって、試合とは違う緊張があるからね。
でもやっぱりちゃんとそういう場でも、参加者の皆さんが
喜ぶプレーを見せてあげるのが選手やコーチの仕事。
あの時「高西、交代!」と言われたのは仕方がない。
 
今、イベントの中のデモンストレーションでは
緊張をあまり見せずにプレーできている。
でも本当はチラッと当時の苦い思い出が浮かぶ。
が、にこやかに余裕の表情でこなせるようになった。
多分、自分の心に嘘を付けるようになったんだろうなぁ。
当時の俺は自分の心に正直すぎたのかも。
我ながら面白い仕事をしていると感じるよ。

自分自身は敵か味方か

[メンタル] 投稿日時:2012/03/09(金) 18:20

試合中、自分自身との対話ってやってる?
ダメなときに、励ましたり、冷静にさせたり、叱ったり・・・。
実際プレーをしている自分とは別の存在を作ることで
客観的に自分自身を見られるようになるのだ。
俺も現役の時は試合ではもう一人の自分を作り、
そいつが結構俺自身に言葉をかけてくれたもんだ。
 
俺の場合は、そいつに結構冷めた言い方をされた。
ミスしたときには「あーあ、情けねぇ」とか「馬鹿じゃないの?」
みたいな言葉を自分自身に言ってくる。
それに対してムカッとくるんだけど、それが結構奮起させる
起爆剤になった気がする。
 
調子いい時も「いい気になってんなよ!!」とか
「喜んでばかりいないで、ちゃんと次のポイントのことを考えろ」
なんて水を差すような言い方をしてくる。
そう言われると、「分かってるよ!!」ってすぐにまた冷静に
次のポイントに入っていける。
 
汚いジャッジやマナーの悪い相手と当たったときは、
「あいつは、かわいそうな奴だよね」って俺に言ってくる。
そう言われると「確かにそうだ・・・」と、相手に対して
感情的になりそうな状態から救われる。
 
もちろん俺自身が言っているのだから、元々俺の
考えに基づいた意見を言ってくるんだけど、
無意識状態でプレーしたり、調子に乗りすぎて
しまっていたり、頭に血が上って視野が狭くなっている
時には、自分本来の考え方がポーンって抜けてしまう。
そんな時にしっかりと自分の考え方を思い出させてくれる
自分との対話はとても試合中は大事にしているし
期待もしている。
 
だけどさっきも述べたように、結局は自分の考えに過ぎない。
ということは、自分のテニスのプレーに対する考え方が
曖昧だったり、いい加減だと、この自分との対話がマイナスに
働いてしまうのだ。
昔はよくこういうことあった。
例えば、大事な場面でのサーブのトスの途中で
「ダブルフォルト・・・大丈夫?」とか、相手と長いラリーを
やっている最中に「こっちが先にミスしたりして・・・」と
不安を煽るような言葉を投げかけてくる。
 
挙句の果てに、「これはもう負けてもしょうがない!」と
さっさと試合を負けて終わらせようと、諦めさせる言い訳を
ご丁寧にも見付けてくれたりするんだよ。
こうなるともう敵以上に厄介だね。
でもそれは、窮地に陥った時、苦しい時にはどういう
プレーを自分はするべきか、決めてないからそうなるのだし
普段からその為の準備が足りていないからそうなるのだ。
 
あまり他の選手と、こういう試合中の自分との対話について
話をしたことはないが、恐らく多くの選手は経験があると思う。
でも、苦しい状況の中でも自信をもって自分らしいプレーを
し続けることが出来る選手って、やっぱり試合中に自分との対話は
出来ているんじゃないかな?
そのためにも、きっちり自分のやるべきことを決めておくことと
その為の準備を普段からしっかり練習で積んでおこう。
«前へ 次へ»