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てにすまん 高西ともブログ ブログテーマ:考え方

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そりゃ、こういう人は強くなる。

[考え方] 投稿日時:2012/05/09(水) 16:06

「テニスって楽しい!」
そう思ったのはいつからだろう。
よーく考えてみると、引退する直前くらいから
やっと「面白いかも・・・」って思ったかな。
 
じゃあそれまでは何も感じないでやっていたかと言うと
そんなことはない。
10年以上も選手活動に没頭してこれたんだから、
それなりの魅力を感じていたんだけど、それはテニスの
面白さというより、弱い自分が強くなっていく面白さ、
打てなかったショットやプレーが出来るようになっていく
面白さなんかを感じていたのであって、本来のテニスの
魅力は楽しめていなかったよ。
たまにスゴイショットが決まったりすると「楽しい!!!」
ってなったけど、それはテニスの面白さじゃなく
単なる「快感」だからね。
 
でもテニスってある程度の技術がないと楽しめない。
例えばテニスの魅力の一つに「相手との駆け引き」がある
けど、色んなところへ打ち分けしたり、ショットのスピードや
種類を幾つか持っていて、それを使い分け出来ないと、
駆け引き自体が出来ないでしょ?
だからテニスの魅力を存分に味わえるようになるには
最低限の技術力は必要だってこと。
高校時代の俺のテニスの技術力では、とてもじゃないけど
テニス本来の楽しみ方を存分に味わうのは難しかったのだ。
 
だからと言って、技術力の乏しい人は、とにかく徹底して
技術力をあげましょう・・・・というメッセージではないのだ。
テニスの楽しみを味わうためには、それなりの技術が必要。
でも、技術力ばかり伸ばそうとすると、今度は相手との
駆け引きなどの、ゲームメイク能力が伸びていかない。
大事なことは技術力がまだまだ乏しい時から、
まだ味わえなくても、テニスの醍醐味だけはちゃんと
知っておかないといけないってことだな。
自分より強い人たちを観て、しっかり勉強して
「テニスの面白さ」をまずは感じてもらいたい。
 
でもねぇ、自分より上手い選手の試合を観戦すると
まず思ってしまうのが
「ショットがムチャクチャ速い!!!」だの
「信じられないコースに決める!!」といった
印象に残るカッコイイショット。
そして「カッコよく決めることこそテニスの醍醐味」って
感じてしまうんだよ。
 
じゃあそもそもテニスの面白さって一体なんだろう。
人によって違うのかもしれないが、俺の場合は
さっきも述べたように、相手との駆け引きなんだよ。
どこに打つのか、どんなショットを打つのか、
いつ仕掛けるのか・・・・。
それらのことを相手とラリーしながら考え、どこかで
「え!?」って思われるようなサプライズを入れながら
相手を崩していくことが面白い。
そう、相手と向き合うことがテニスの楽しさだと思う。
 
そこを自覚しておかないと、ついつい試合中、
劣勢になればなるほど、相手との駆け引きから逃げ出し
無理なショットを打ってしまうのだ。
そしてそうやって負けた次の日は、駆け引きに
応じないで逃げた事を反省しなきゃいけないのに、
「もっと凄いショットを!!!」って感じで練習をするのだよ。
 
例え出来なかったとしても、ちゃんとテニスの面白さが
分かっていれば、負けた時の反省は上達に結びつき
やすいのだ。
だからテニスの面白さが分かっている方が、上達は
早いんだよ。
「テニスのスポーツの魅力は?」
なんて誰かに聞かれたときはちゃんと自分の意見として
テニスの楽しみ方を説明できるようにしておこう。
そしてその楽しみ方を意識して普段の練習をして
おくようにね。
やっぱりテニスを心から楽しめる人が、テニスの
名人になるんだよ。
頑張れ。

ワガママテニスプレーヤー

[考え方] 投稿日時:2012/05/08(火) 23:09

君の得意なショットはなんだろう。
やりたいことはなんだろう。
どういうプレーをしたいんだろう。
 
そう聞かれると、
「えーっと、俺はフォアが得意で、しかもそれを
回り込んで逆クロスに打ち込むのが好きだから
それを活かして戦いたい」
なんて答え方をするでしょ?
出来るだけ苦手なプレーは避けて、得意なパターンに
持ち込んで試合をしたい。
そう思って試合に臨む人が多い。
 
でも実はこの考え方ってちょっと違うんだよ。
だってテニスって相手と戦うでしょ?
相手と戦うんだから、
「相手が嫌がること」って項目を加えなきゃいけないのだ。
得意な事以上に、嫌がる事を優先的に試合の中では
実行しないと相手の調子が落ちないでしょ。
 
相手が嫌がることが自分の得意なパターン、
これだったら一番楽なんだけど、そう簡単には
いかないことが多い。
回り込んで逆クロス・・・が得意だったとしても、相手は
バックハンドスライスで繋ぎ続けるタイプだと、効果が
薄くなるし、けっこうこのパターンで空回りさせられる選手
見掛ける。
それなのに「俺はこれが好きなんだ!」ってそのまま
意地でも続けるのはリスクが伴う。
もちろん相手が根負けするくらい徹底的に出来るなら
いいけど、そこで相手が嫌がることを混ぜてプレーするという
選択肢も必要だと思うよ。
 
もちろん得意ショットと得意コースはちゃんと自覚して、
普段から練習しておくべし。
だけど、同じくらい苦手ショットと苦手なコースも
自覚して練習しておこう。
でも、苦手ショット&苦手コースなんだから、そんなに
スゴイショットじゃなくていい。
地味だけど確実に、そして安定感をアピール出来れば
それでいいんだよ。
 
そして大事なことは試合中の満足感の方向性。
どういうことかと言うと、自分の得意ショットが
カッコよく決まったら嬉しいでしょ?
でもそれ以上に大事にしてもらいたいモノは、
相手が嫌がっていること。
テニスってポイントを何ポイントも積み重ねて
勝利を得るというスポーツなんだから、結局相手から
どれだけミスをもらえるかが重要なんだよ。
となると、自分の好きなことを沢山行なってポイントを
取り続けることより、相手が嫌がることを増やして、
相手からポイントをもらうことを優先しないと
成り立たないのだ。
 
自分のことばっかり考えて、ネット挟んだ相手のことを
全然考えないテニスをやっている選手は、言い方変えれば
ワガママだね。
自分のことは二の次で、とにかく相手のことを最優先で
考えてあげられる「思いやりテニス」で効率良く勝つ
テニスを覚えよう。
ただし、たまには自己主張も必要。
時々そうやってワガママになるために、普段は
謙虚にプレーしておかなきゃいけないんだよ。
思いやりテニス、時々ワガママって感じで。

意外と大したことない世界

[考え方] 投稿日時:2012/05/03(木) 12:09

夢は大きいほうが良い。
目標は高いほうが良い。
そう思っているけど、その道のりは当然険しい。
それは何だって想像以上だと思う。
でも、もし夢が叶ったり、目標を達成したとしても
最初にイメージしていたものとはちょっと違うと思うよ。
 
俺の場合、18歳で上京した時は全日本ランキングが
取れれば最高だと思って選手活動を始めた。
当時は200位くらいが最低ランキングだったから
簡単に言うと、全日本ランキングを取るってことは
日本でベスト200人に入るわけだ。
高校でテニスを始めて、しかもボレーもロクに打てない
俺にしてみたら、200位なんて夢のようなランキングで
「無理だろうけど・・・」と思いながら一応目指したんだよ。
 
そして努力の甲斐あって全日本ランキングを獲得して
実際200位くらいになったのは24才の時。
むちゃくちゃ嬉しかった・・・かというと、そんなに嬉しいもの
ではなかった。
その頃にはもう「100位以内に入るにはどうすればいいか」って
ことを毎日考えていたから、上京した当時の目標だった
200位に達成したってことはそんなに特別とは思わなかった。
 
その代わり、こんなことを感じた。
「200位というランキングは、もちろんある程度の実力は
必要ではあるが、才能とか運とかいう世界ではなく、
選手活動をきっちりと行なっていれば、現実的に可能な世界なんだ」
ということ。
まだまだ経験不足な状態の頃は、200位というランキングは
「才能」とか「運」、そして「子供の頃からやっていたか」ということが
重要なもの凄い世界だと思っていたけど、実際はそんな
世界ではなかったのだ。
もっと地味でドロドロした身近な現実世界だったのだ。
 
100位以内に入った時もそうだった。
全日本の予選に出場出来たときも、オープン大会で
優勝したときも、そう感じた。
やるべきことをやって来たから、その場に立っている
自分がいるのであって、俺に才能があった訳じゃないのだ。
選手生活をスタートさせた当時の夢を叶え、目標を到達
させながら俺はテニス選手生活を送ってきたけど、実際その域に
立つと、当時目標にしていたことは「誰でもその場に立てるくらい、
大したことないレベルだったんだ」って感じた。
 
ただ「大したことない」というのは「簡単」とか「無意味」という
ことではなく、誰でもどんな人でも狙える世界だってこと。
狙った人が皆、到達出来る世界ではないけど、最初から
「そのレベル無理だ」って諦めるのは勿体ないんだよ。
山の麓から頂上を見上げた時には「大変そうだ!」って
思って登ってみると「意外と簡単だった」ってこと。
でもそれは登り始める行動力と、途中で諦めない忍耐力なんか
が無いと結局頂上まで行けないし、登りきって初めて
「思ったより簡単」って思えるんだよ。
 
そういったことを何度も経験しているうちに、俺は
「まだ未体験の事は、自分が思っているより簡単なのかも」って
考えるようになり、とにかく目標を高くする癖がついた。
それにより、「無理そう・・・」って諦めないで、トライすることが
出来るようになったし、トライすると意外と思っていたより
簡単だったり違う世界だったりってことが分かったのだ。
 
でもある程度の才能ってのも必要なんだよね。
引退する頃の俺は、デ杯の日本代表になることだとか、
ウィンブルドンに出場する・・・なんて無茶苦茶目標を高く持って
臨んでいたけどさすがに・・・。
しかしその高い目標のおかげで、最後まで自分のテニスは
成長し続けたのは確かである。
でももし俺がウィンブルドンに出場できたとしても
恐らく「思ったよりスゴイ世界では無かった」って思うかも。
そう考えると、到達できるのは一握りの人だけなんだけど、
「俺は無理」って思わないで行動は起こさないとね。
 
ただ・・・本質を見抜く力は絶対必要だと思う。
夢は大きく。
そして現実から目をそらすな。

言っちゃいけない言葉

[考え方] 投稿日時:2012/04/30(月) 10:22

試合中に自分と対話をすることが多い。
シングルスはコート上で一人っきりだから
もちろんのこと、ダブルスの時もやっぱり
ボールを追いかけながらだとか、サーブを打つ前に
ボールをバウンドさせている時だとか、ネット前で
ポーチを狙っている時なんかに、語りかけて
自分自身へメッセージを送る。
 
そのメッセージは自分が自分に送るので、
その時の自分自身の状況によってかなり変化が
あるし、その言葉によって結果が大きく変わる。
まだまだヘタッピだった頃の俺なんか、サーブを
打つ前に準備している俺に、俺自身が
「ダブルフォルトするんじゃない・・・・?」だとか
チャンスボールを打ち込む直前の俺に
「ミスったらどうする・・・・?」なんて不安を煽るような
ことを言うもんだから、それによって腕が縮こまって
しまったり、腰が引けたりしてしまうことはしょっちゅう
だったよ。
 
段々試合経験も増えて、テニスというものが分かってくると
自分が自分にどういう言葉を掛けてあげれば有効的で
何がダメなのかが分かってきて、あまり自分へマイナスに
なるような言葉は少なくなってきた。
感情的になっている自分には
「一回深呼吸してみようよ」とか、ビビっている
「俺は強いんだから、絶対大丈夫」って言い聞かせたり
汚いジャッジの相手には
「いつかあいつにも天罰下るさ。それより自分のテニスを
し続けよう」って感じで、いいプレーをしやすいモードに
するための言葉を用意出来るようになったんだよ。
 
この言葉のチョイスを間違えると大変だ。
ただテニスを練習するだけじゃなくて、そういった自分への
声掛けのことも普段からちゃんと考えておかないといけないね。
ネガティブな言葉を掛けるのは当然ダメなんだけど、
意外とちゃんとした言葉を掛けているつもりだけど
実はマイナスに作用しやすい言葉があるんだよ。
 
それは「丁寧に・・・・」とか「ボールをよく見て」という言葉。
だいたいミスをしてしまった後のプレーの時とか、
大事なポイントの最中に思ってしまうんだけど、
俺の今までの経験でこの言葉を自分自身に掛けたことで
結果が良かったことは殆どない。
それどころか、足が止まり打点を落とし、スィングスピードまで
中途半端になって振り切れなくなってしまう。
 
逆にそういう場面で効果的だった言葉は
「相手をびびらせてやれ!」とか
「永久にラリーを続けてやる!」とか、
「ここでネットプレー混ぜれば面白いかも」と言った
戦術を絡めた言葉。
あまり細かい技術の事とか、「頑張れ」みたいな
抽象的な表現は分かりにくいからね。
 
結局自分との対話が上手く出来るようになり、
苦しい時には助けてくれる言葉、チャンスの時には
その勢いや流れを活かしてくれる言葉を掛けられるように
なるってことは、自分の中にもう一人別の自分を
作るような感じなのかな?
常に冷静で、しかも自分を信じて応援してくれる、
そんな存在を作れれば、自ずと効果的な言葉を
試合中に掛けられるようになると思う。
 
さて、皆の中にいるもう一人の自分は、ちゃんと
試合中に効果的な言葉を掛けてくれているかな?

オマケを期待した攻撃を

[考え方] 投稿日時:2012/04/25(水) 02:20

テニスで「決めようとする人vs粘ろうとする人」という
対決があると、粘ろうとする人が勝ちやすい。
決めようとすることはミスと背中合わせ。
リスクが大きいからね。
だからテニスは決めることよりも、相手にミスしてもらって
ポイントを重ねないといけない。
 
じゃあ攻撃はいらない?
いやいや、その攻撃って必要だよ。
でも、「攻撃」ってそもそも相手にミスを促すための
手段なのだ。
だから、攻撃をガンガン仕掛けてもいいが、
それによってどの位相手からミスをプレゼント
してもらっているか冷静に判断しなきゃいけない。
ミスを全然もらえないで、ガンガン攻撃しているのは
かなり危険だよ。
 
分かりやすい例で言うと、ダブルスの時のボレーの
ポーチがそうだね。
「ポーチに出る」という行為はかなりリスクが大きいでしょ?
それでもストレートに抜かれる危険性があるのに、
ポーチに出るのはどうしてだろう?
もしポーチを一本も出なけりゃ、相手から一本も
ストレートを抜かれずに済むかもしれない。
それでもポーチに出るということを一度でも
やってしまえば、相手が「また出てくるかも・・・」と
気にしながらプレーしなきゃいけなくなる分、ミスして
くれる可能性がグーンと上がるのだ。
ポーチに出るときは、目の前のその1ポイントだけじゃ
なくて、その後の影響をちゃんと見越して、計算に
入れているか・・・なんだよね。
 
その辺りの、敢えてリスクを犯してまで行う攻撃と
その攻撃の効果でミスをもらう割合って、1ゲームという枠で
考えると分かりやすい。
1ゲームって4ポイント取れば良いわけでしょ?
もちろんデュースまでもつれた場合はもう少し多く
やらないといけないが、その4ポイントを「決める」と
「ミスもらう」とどういう割合で構成していくのか・・・を
しっかり考えてみよう。
 
俺の場合、思い切った攻撃での得点は4ポイント中
1ポイントにしておきたい。
相手が格下だったとしてもだね。
その代わり、その思い切った攻撃の影響で相手から
2ポイントはミスをもらいたい。
じゃあもう1ポイントは・・・・?
思い切った攻撃を仕掛けた分、とことん粘り抜いた末に
地味な形でポイントゲット・・・というパターンを狙うのだ。
「粘り勝ち」的なポイントだね。
ここで安定感を見せることが出来ると、また奇襲作戦的な
思い切った攻撃の効果が出てくるんだよ。
 
もちろん毎ゲーム、こう思い通りに行くわけじゃない。
だけどある程度この割合というか、ポイントを取るパターンの
種類をちゃんと決めておかないと、思わず4ポイントとも
自分のナイスプレーで決めてしまいたくなるし、場合に
よっては逆にビビって、チャンスが来ているのに、4ポイントとも
相手からミスもらおうとして、逆に怖じ気付くことも多いんだよ。
 
でもこのパターンが上手く続いて、良い流れが出来たら
4ポイントとも相手ミスで楽ちんテニスってことになりやすいし
その流れのまま試合終了が一番嬉しいかな。
そうするためにも、良い流れを作り、そして相手から
ミスをもらうための攻撃をちゃんと序盤に
見せておきたいもんだ。
ただし!!!上手く華麗に決まっても、調子に乗って
続けて、連続思い切った攻撃をしないように!!
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