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てにすまん 高西ともブログ 2012/11/10

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お前は逃げているんだよ。

[考え方] 投稿日時:2012/11/10(土) 10:30

選手として国内の大会を色々回っていると
参加している選手のメンバー殆どと顔見知りとなる。
もちろん「あれ誰?」という選手もたまにいるんだけど、そういう
選手は普段、高校とか大学の試合しか出ていなかったり
ずっとアメリカで活動していた選手だったとかで、違うカテゴリーで
活躍していたのであって、いきなり試合に出始めて急に
勝ち上がっていくという試合初心者の選手って、テニスには無いのだ。
「彗星のごとく現れる!」なんて言われる選手もたまにいるけど
そういう選手もそれまで他での実戦経験は豊富なんだよね。
 
結局テニスって、相手あってのスポーツだから、
極端な話、山にこもって厳しく激しいテニスの特訓を一人で
行っても絶対試合で結果は出せない。
強い選手と二人でこもって練習したとしても無理だね。
その強い相手選手だけには慣れるだろうけど、大会に出て色んな
タイプの選手を倒しながら勝ち進むことは出来ないと思う。
むしろ格下にも負けやすい選手になってしまうんじゃないかな。
 
でも結構そういう考えの選手というか、選手志望の人って
多いんだよね。
「勝ちたい!」「強くなりたい!」って気持ちは一人前に
持っているんだけど、試合にどんどん出場したり、色んな選手と
練習したりすることを避けてしまうのだ。
そういう人って結局自分の頭の中でテニスの強さとは何かという
勝手な定義を作ってしまい、後はそのイメージ通りのショットが
打てるまでは試合に出場しない・・・なんて言って、結局その
自分勝手な定義を基に練習ばかりしている。
そしてその考えを否定されるのを避けて、あまり周りと接しないか、
接するとしても特定の人か、同じようなタイプ同士か。
とにかく活動範囲も練習相手も極々限られた範囲となる。
 
そういう人達って実は最初の頃は、頑張って色んな大会に
出場したり、色んな選手と練習しようとしていたと思うんだよ。
でも試合の度に一回戦負けが続くし、その一回の試合だけで
数千円のエントリー代が飛んでいくような、惨めな思いが続くと
試合に出ることを避けようとし始める。
勝ち進んでいる選手達を前に、惨めな気持ちが湧いて、劣等感に
苛まれてくるのだ。
その劣等感が徐々に試合を遠ざけ、またその気持ちがいつしか
「一人でこっそり練習して秘密兵器を作ってやる」
という一発逆転変身願望的発想を生み出すが、結局そういう発想が
更にその選手のテニスを薄っぺらにして実力はより落ちていく。
 
そういうタイプは「200キロのサーブが手に入れば・・・」とか
「一発で決められる強力フォアハンドストロークが打てれば・・・」
と速いサーブとか打ち込みフォアハンドばかり練習するパターンに
なり、結局対戦相手の事なんか全く考えないし、自分が苦しい
状況になった時のことも考えない。
ただただ、自分自身が良いショットで決める・・・そのことのみを
追求して練習している。
 
でもね、テニスは「自己ベスト」を探求するスポーツとはちょっと違う。
マラソンのように日々黙々と努力を重ねていけば、自ずと結果が
出る訳じゃないからね。
強くなりたきゃ試合に出続けろ。
強くなりたきゃ練習相手を増やせ。
負け続けても、惨めな思いをしても、劣等感を抱いても
自分より強い相手を求めて動き続けなきゃダメだ。
武器を用意してから試合に出場するんじゃなく、負けながら
叩きのめされながら、惨めな思いをしながら武器は磨かれ、
そして強くなっていくのだ。
現場を離れちゃいけない。
試合を避けている人、同じ人としか練習しない人、
そろそろ逃げていることに気付かなきゃダメだよ。