大きくする 標準 小さくする

てにすまん 高西ともブログ 2014/3

rss

スウィングスピードを上げたいでしょ?

[テニス技術] 投稿日時:2014/03/26(水) 11:49

200キロのサーブを打つためには200キロ以上の
スウィングスピードが必要だよね。
速いショットを打ちたいならスウィングを速くしないと
いけないし、ボールのスピン量を増やしたい人もスウィングの
スピードは上げていかないといけない。
そこでどういった方法でスウィングスピードを上げるかが
大きな課題となってくる。
 
まずサーブやトップスピンのストロークで
「スウィングスピードを上げたい!」って思った時に
真っ先に頑張ってしまうのは腕。
でも腕だけ頑張ろうとすると、上半身がブレてしまうし
ラケットダウンからフォロースルーまでの軌道がどうしても
横振りになってしまいやすく、上下動が難しくなる。
しかも一生懸命振った割には意外とスウィングスピードが
上がってなかったりするという悲しい結果になりやすい。
 
ではどのようにしてスウィングスピードを上げていくか。
大事なことはまずスウィング始動時のプロセス。
一番エネルギーを必要とするのは止まっている物を
動かし始める時でしょ?
スウィングスピードを上げるためには、このスウィング開始時の
動きのキッカケをどこに求めるか・・・が重要となるんだけど
サーブもストロークもまずは身体のターンから始まり、
ラケットはそのターンをキッカケにして動き始める。
動き始めたラケットはそこから更に重力に従って
ラケットダウンの最底点を目指しながら大きくゆっくりと
動きながら徐々に動きが速くなるけど、もちろんまだまだ
トップスピードではない。
 
ラケットが最低点のラケットダウンを迎えたら、落ちた反動で
今度は上に上がっていこうとするんだけど、この自然と上へ
上がっていこうとする動きを活かしていきたいんだよね。
さあ、このタイミングを利用して腕を一気に振り抜いて最高速度の
スウィングスピードに上げて行くんだけど、ここで更に
加速させる要素として必要となるのが軸足の床反力と、
スウィングさせる腕の振りをコンパクトにさせること。
軸足の床反力は腕の振りの労力を大きく軽減させてくれるし
コンパクトな腕の振りはラケットヘッドが一気に走るので
スウィングスピードが劇的に加速するのだ。
 
まとめると、身体のターンをキッカケにラケットが大きく
ゆったりと動き始め、そこからラケットダウンを経て徐々に加速。
ラケットダウンの反動で上がろうとする力を利用して一気に
打点に向かってスウィングスピードを上げるんだけど、
軸足の床反力の助けを利用することで労力は抑えながら、
コンパクトな振り抜きでスウィングスピードをより加速させる
ということも忘れずに・・・ということになる。
 
速くスウィングするということは、こんなにプロセスを経て
初めて実現出来るんだよ。
ということは、大事なのは準備を早くに始める事で、ゆったりと
したモーションを序盤に作らないといけないってこと。
準備が遅くて慌ただしい人は、慌ただしいだけで決して
スウィングスピードは上がらないからね。
 
でもね、こんなに言っておきながら、もっとも重要なのは
真似だと思っている。
これらのプロセスを頭に入れて何球も何十球も何百球も練習する
以上に、無茶苦茶速いスウィングの人達と練習したり試合したり
することで、彼らの打ち方を真似するのが一番なんだよ。
真似をしようとすると、準備をし始めるタイミングから
ゆったりさせる間の取り方、リストの使い方、何より速いスウィング
とはどのくらい速い事なのか、どのくらいの労力が必要なのか
を見定める事が出来るからね。
 
速いスウィングを覚えるとショットが速くなるだけじゃなく、
回転量も増える。
ということは安定感も増すという事だし、労力を抑えて
スウィングしないといけないから、省エネの打ち方にも繋がる。
誰もが200キロのサーブを目指す必要はないと思うけど、
今よりもスウィングスピードを上げようって気持ちは
どんなタイプの人達にも持っていてもらいたい。
その代わり、労力を抑えてより楽チンにラケットを振れるように
することや安定感に結びつけようって気持ちを持つ事だね。
間違ってもスウィングスピードが上がった事で「パワー」
ばかりに目を向ける単純テニスにならないよう気を付けて!!

ラケット選びは新しい自分との出会い

[テニスグッズ] 投稿日時:2014/03/17(月) 22:44

高校でテニスを始めたキッカケは単に両親、特に
父親のラケットが家の中にゴロゴロとたくさん転がって
いたから。
新たにテニスを始めても、道具を買う必要はないと
思ったのだ。
初めて自分のお金でラケットを購入したのは20歳のとき。
買ったラケットはHEADのラジカルツアー。
当時、ボウズにしたばかりのアガシがガンガン打ちまくって
いたのと、一緒に練習していた先輩コーチが使っていた事に
影響を受けて購入。
試打?
もちろん行ったけど、「うん、これは打ちやすい」って
ハナから打ちやすいって決めていた感があった気がする。
とにかく「カッコいい」ということで決めた。
 
その後ウィルソン、トアルソン、ダンロップと渡り歩き
スペインでプレーしている時にHEADのプレステージを
試して、それ以来ずっとプレステージである。
ただプレステージも何度かモデルチェンジが行われたので
その都度試しながら、最終的にはプレステージのミッドから
プレステージのミッドプラスに変更となった。
ミッドのラケットはフェイス部分が一番小さくて
ミッドプラスとなると少し大きくなる。
これに換えた大きな理由はネットプレー重視となったため。
ストロークの振り抜きだけを考えると、ミッドの方が
格段に気持ちよい感触なんだけど、ボレーのタッチで言うと
ラケット面にボールが乗る感覚が安定しているように感じた
ミッドプラスの方が心地よくて扱いやすかったのだ。
ネットプレーを重視するようになった俺としては
ミッドプラスが最高のラケットだったのだ。
 
じゃあ、あまりボレーが得意じゃなかったまだ若かりし頃の
俺はミッドプラスよりミッドの方が合っていたのか・・・と
言うと、現在はそうではなかったんじゃないかなって思う。
当時はボレーが苦手だったから、試打の時もほぼ得意なストロークで
感触を試していた。
サーブも「より速く打てるものを」というコンセプトで試して
いたけど、それはただ自分に合ったラケットを探しているのではなく
単なる得意な物に合わせたラケットを選んでいる・・・ということ
なんだよね。
言い換えれば不得意なものにとっては、とても不親切なラケット選びと
言えるんだよ。
もしかしたら、こういったラケット選びのために、不得意なものを
より苦手に感じてしまっていた可能性もある。
 
ネットプレーを重視するようになって初めてボレーの感触を
試打の中で重要視するようになったんだけど、それだけでなく
2ndサーブやスライスショット、振り回された時の安定感や
相手の鋭いショットの受けた感触なんかも試すようになった。
おかげで試打期間も2ヶ月くらいかけて行うようになった。
だって一度の試打では、その日の好不調で結果が大きく変わるでしょ?
出来ればその試打ラケットで試合も出場しておかないといけないし
ストリングを違うのに張り換えて試すこともやっておかないと
いけない。
 
とにかくテニスは色んな場面、状況が考えられるし、
そもそもテニスの試合の中ではあまり得意じゃないショットを
し続けないといけない場合が多い。
そう考えると、苦手ショットや地味なショットに重きをおいた
ラケット選びもちゃんとしておかないといけないんだよ。
まだネットプレーが苦手だった頃の俺は、
「ボレーが苦手だから、得意なストロークを」って発想だけじゃなく
ボレーが下手な俺でも使えて、しかも得意なストロークが活かせる
そういうラケットの選び方をするべきだったのだ。
 
最近は仕事柄、色んな種類のラケットを試すように
なったんだけど、打ってすぐに「これ、俺に合わないな」って
思っても
「どういうプレーをするとこのラケットが使いやすく感じる?」
というふうに、そのラケットが活かされるショットやタッチを
探すようになった。
これが意外と面白い。
ストロークで良い感触が得られなくてもボレーだと
扱いやすかったりすることもあるし、スィングスピードが
速過ぎると打ちにくく、ゆっくりで厚い当たりだと好感触
なんてのもある。
踏み込んでコンパクトなスィングにすると、よりラケットが
活かせたりすることも最近のラケットでは多いしね。
 
とにかく大事な事は、そのラケットがどういうコンセプトで
どういう場面に効果を発揮するように作られているかを
探る能力を身につける事。
自分のテニスがまだまだ完成されていないと感じている人が
殆どだと思うんだけど、そんな人が今現在のテニスの範囲内だけで
「俺はこれだ!」ってラケットを選ばないでもらいたいね。
今は苦手と感じているショットもそのうち得意なショットになる
場合がある訳だし、その苦手なショットを上手くサポートしてくれる
そんなラケットを選ぶ事は大きく自分のテニスを成長させてくれる
可能性が広がるってことなんだよ。
もちろんそこで得意なショットも活かしてくれることも重要だけど
得意なことにばかり目を向けて、苦手なものには興味無しという
選手は試合も絶対に勝てないからね。
新しいラケットを選ぶということは、自分の思い描いていることを
実現させることではなく、「新しい自分との出会い」を演出してくれる。
そう言う気持ちで、ラケットの特性を上手く
今後の自分のテニスに開花させよう。

器用な選手、不器用な選手

[考え方] 投稿日時:2014/03/14(金) 15:02

器用な人はテニスが上手い。
自分よりも強い人のテニスを見たらすぐに真似出来るし、
複雑な身体の使い方も難なくこなしたりするし、新しい
ことの導入も上手いしね。
打つ瞬間も、色んなコースを思い浮かべたりして
あらゆるパターンを用意したりする。
じゃあ不器用な人はテニスが下手か・・・と聞かれると
面白いことにテニスってスポーツはそうでも無いんだよね。
不器用だからこそ、決められたことをとことん貫いて
無心になってプレー出来たりする場合がある。
色んな選手見て来たけど、結構「あの人って不器用だな」って
感じる強い選手もいっぱいいるもんだ。
なので器用とか不器用って、実はそんなに気にすることでは
ないのかも。
 
でも器用な選手と不器用な選手は、プレーのスタイルや
打ち方に多少の違いが出てくる。
器用な選手の方は配球のパターンが多く用意されていて
その中での使い分けが激しいことが多いし、打ち分けが
激しい分、打ち方もコンパクトで柔軟な打ち方になりやすい。
不器用な選手は、何度も同じパターンに持ち込んで同じプレーを
繰り返しながら試合を進めることが多いから、得意ショットは
終止しっかり打ち、苦手ショットは常に控えめな対処の仕方と
いうふうに、決まった形となりやすい。
だからテイクバックの構え方から打点、打ち終わりの形まで
決められている分、しっかりとした大きめのフォームで打つ
印象がある。
 
でも器用な選手と言っても、上には上がいるわけだ。
「器用だね!」とか「運動神経抜群!」と幼少の頃から周りに
言われ続けても、勝ち上がって上の選手と対戦すると、
自分の甘さは嫌という程見せ付けられる。
そうなると、器用と言われていようが、不器用なタイプの選手と
同じパターンを我慢して続けながらちょっとした隙を
見付けてから突いたりして、相手が精神的に揺らぐのを待つ
テニスをしないといけなくなる。
不器用な選手もそうだ。
「俺、不器用っすから・・・」なんて雰囲気でずっと我慢の
テニスを続けると相手が根負けしてミスをしてくれることも
多いんだけど、当然ミスが続いた相手はそれに気付いてまた
建て直してくるに決まっている。
そこで立ち直る前に、まだ崩れた状態の相手に対して追い込みを
かけるようなプレー・・・例えばネットに出るとか、ストローク
ラリーのコースをどんどん換えて揺さぶってみるなんかの
ちょっと先手で仕掛けるプレーを混ぜ込まないといけない。
いつもどんな時も「不器用なんで・・・」なんてことを
言っていると勝機を逃してしまうことがあるんだよ。
 
となると、ある程度自分は「器用」なのか「不器用」なのか
を知っておくことは大事だけど、結局は器用なテニス、
不器用なテニスの両方をちゃんと出来るようにしておかないと
いけないってことだ。
器用なタイプも我慢しなきゃ行けない場面は黙々と地味な
プレーをするし、不器用なタイプも攻めるべきところは
ちゃんと行動を起こすってこと。
どちらのタイプであっても、どちらのプレーをしないとね。
 
日本でも世界でも色んなトップ選手を見て来たし、実際
一緒にプレーしたり話をしたんだけど、器用な選手でも
有頂天にも天狗にならずに、でも自信とプライドは
保つという素晴らしいバランスを持っていた。
不器用なタイプのトップ選手も自分のやれるべき事だけを考え、
その中でどうやって戦って行くかを冷静に見つめながら
自信を醸し出していたし、どこかのタイミングでその不器用なん
だけど現在の自分の枠を思い切って広げる行動をハードな
トレーニングやフォーム改善、プレースタイルの変更などで
行っている。
 
器用であろうと、不器用であろうととにかく今現在の
自分の立っている場所を認める事と、そこからまた更に前へ
一歩踏み出さないといけないことを知っていないと行けないし、
その一歩は器用も不器用も歩幅は変わらない訳だからね。
で、俺はどっちのタイプかって?
うーん、器用なタイプだと思うんだけど、それは完全に
30歳過ぎてからそうなったと感じている。
そして今でも前へ進もうとしているよ。

嘘情報を流してみよう。

[戦術] 投稿日時:2014/03/06(木) 11:20

相手と向き合い、相手と戦うのがテニスというスポーツ。
自分自身とばかり向き合ってばかりいられない。
自分のプレーを良くすることも大事だけど、相手選手の
プレーを崩すことが重要なのだ。
とくに相手が自分より強い場合は、自分のレベルよりも低い
段階まで引きずり込まなきゃ勝てるはずが無い。
相手をしっかり観察して、その方法を見抜かないとね。
 
しかし当然相手もこちらを見ている。
「どこ打ってくるのかな」
「何をしようとしているのかな」
こちらを観察することで、次に何をやろうか決めている。
と言うことはだよ、相手がそうやってこちらを観察している
のであれば、それを利用して相手へ嘘の情報を流すと
どうなるだろう?
当然相手はその嘘情報に翻弄されて間違った選択をする
可能性が出てくる訳だ。
観察するという習慣がある選手は、レベルが上がれば
上がるほど増える訳だから、こういった嘘情報を使っての
駆け引きは必要になってくるんだよ。
 
よく俺がそういう駆け引きを使うのはダブルスでボレーにいる時。
正面にいる相手がレシーブを打とうとする場面でこちらが
「ポーチ出るぞ!」って動きを見せることにより、相手が慌てて
ストレートに打って来るのを待ち伏せしたり、こちらのポーチを
かわそうと無理な鋭いクロスへ打たせて、サイドアウトを
誘ったり・・・という作戦、これはよく使う。
本当はポーチに出る気も無いのに、「出ますよ」って情報を事前に
流すことで相手を翻弄させることが出来るんだよ。
他にもチャンスボールをフォアハンドで打ち込む時にも
相手に対して、「逆クロス打ち込むよ」というアピールを散々
やっておいて、結局逆クロスは辞めてクロスへ決める・・・など。
とにかく相手はこっちを見ているんだから、それを逆手に
とっていかないといけないのだ。
 
でも相手に対してこういった嘘の情報を送って翻弄させる
ことってやっぱりコツが必要なんだよね。
まず重要になるのが早めに情報を流すことである。
プレーでは嘘の情報を流しておいて、それから実は違うプレーを
やる訳だから、かなり早く情報を流し始めないといけない。
ダブルスのポーチのフェイクであれば、相手がレシーブを打つ
かなり前から「ポーチ出るぞ!」という動きを見せておいて
それからきっちり戻らないと、せっかくストレートに
誘っても対処出来ないという惨めな結果になる。
逆クロスに打つと見せかけてクロスへ・・・という作戦も
早めに逆クロスアピール出来るかが重要なのだ。
 
次に大事なのは何の情報を流すか・・・である。
何でもかんでも嘘情報を流して良い訳ではない。
その嘘にはリアリティが必要でしょ?
そこで、重要なのはそれまでに見せたナイスプレーを
利用して嘘情報を流せば効果大なのだ。
ダブルスでポーチに出るフリを見せるなら、ポーチを決めた後が
有効だし、ストロークで実際に決めたコースを相手へアピール
すれば、相手は決められた苦い経験を思い出して慌てて
そこのコースを守ろうとして逆のコースががら空きに
なったりするという訳。
 
そしうて最後にもっとも重要となるのがこれだ。
「正々堂々と自分らしくプレーをすること」
自分の好きなコースへ堂々と何の迷いも無く打ち抜く。
普段からこれがあるから嘘情報が生きてくるし、この精神が無いと
嘘をつくことばかり考えてしまい、自分の姿を見失う。
しかも相手のレベルが上がる程、相手はこちらの嘘を見抜く力も
上がってくる訳だから、正々堂々とプレーするという姿を
見せておかないと成り立たないんだよね。
 
テニスは相手を観察するスポーツだし、相手に観察される
スポーツでもある。
観察してくる相手に対して、嘘の情報も流さないといけないけど
それを成功させる為には、普段から自分のテニスに絶対的な
自信を持って迷い無くプレーをしているんだ・・・という信念も
見せておかないといけないということだね。
もちろん、こちらも相手の嘘情報を見抜く観察力が必要になる。
ややこしいんだけど、それがテニスの大きな魅力と思って
楽しんでもらいたいね。