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てにすまん 高西ともブログ 2012/5/3

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意外と大したことない世界

[考え方] 投稿日時:2012/05/03(木) 12:09

夢は大きいほうが良い。
目標は高いほうが良い。
そう思っているけど、その道のりは当然険しい。
それは何だって想像以上だと思う。
でも、もし夢が叶ったり、目標を達成したとしても
最初にイメージしていたものとはちょっと違うと思うよ。
 
俺の場合、18歳で上京した時は全日本ランキングが
取れれば最高だと思って選手活動を始めた。
当時は200位くらいが最低ランキングだったから
簡単に言うと、全日本ランキングを取るってことは
日本でベスト200人に入るわけだ。
高校でテニスを始めて、しかもボレーもロクに打てない
俺にしてみたら、200位なんて夢のようなランキングで
「無理だろうけど・・・」と思いながら一応目指したんだよ。
 
そして努力の甲斐あって全日本ランキングを獲得して
実際200位くらいになったのは24才の時。
むちゃくちゃ嬉しかった・・・かというと、そんなに嬉しいもの
ではなかった。
その頃にはもう「100位以内に入るにはどうすればいいか」って
ことを毎日考えていたから、上京した当時の目標だった
200位に達成したってことはそんなに特別とは思わなかった。
 
その代わり、こんなことを感じた。
「200位というランキングは、もちろんある程度の実力は
必要ではあるが、才能とか運とかいう世界ではなく、
選手活動をきっちりと行なっていれば、現実的に可能な世界なんだ」
ということ。
まだまだ経験不足な状態の頃は、200位というランキングは
「才能」とか「運」、そして「子供の頃からやっていたか」ということが
重要なもの凄い世界だと思っていたけど、実際はそんな
世界ではなかったのだ。
もっと地味でドロドロした身近な現実世界だったのだ。
 
100位以内に入った時もそうだった。
全日本の予選に出場出来たときも、オープン大会で
優勝したときも、そう感じた。
やるべきことをやって来たから、その場に立っている
自分がいるのであって、俺に才能があった訳じゃないのだ。
選手生活をスタートさせた当時の夢を叶え、目標を到達
させながら俺はテニス選手生活を送ってきたけど、実際その域に
立つと、当時目標にしていたことは「誰でもその場に立てるくらい、
大したことないレベルだったんだ」って感じた。
 
ただ「大したことない」というのは「簡単」とか「無意味」という
ことではなく、誰でもどんな人でも狙える世界だってこと。
狙った人が皆、到達出来る世界ではないけど、最初から
「そのレベル無理だ」って諦めるのは勿体ないんだよ。
山の麓から頂上を見上げた時には「大変そうだ!」って
思って登ってみると「意外と簡単だった」ってこと。
でもそれは登り始める行動力と、途中で諦めない忍耐力なんか
が無いと結局頂上まで行けないし、登りきって初めて
「思ったより簡単」って思えるんだよ。
 
そういったことを何度も経験しているうちに、俺は
「まだ未体験の事は、自分が思っているより簡単なのかも」って
考えるようになり、とにかく目標を高くする癖がついた。
それにより、「無理そう・・・」って諦めないで、トライすることが
出来るようになったし、トライすると意外と思っていたより
簡単だったり違う世界だったりってことが分かったのだ。
 
でもある程度の才能ってのも必要なんだよね。
引退する頃の俺は、デ杯の日本代表になることだとか、
ウィンブルドンに出場する・・・なんて無茶苦茶目標を高く持って
臨んでいたけどさすがに・・・。
しかしその高い目標のおかげで、最後まで自分のテニスは
成長し続けたのは確かである。
でももし俺がウィンブルドンに出場できたとしても
恐らく「思ったよりスゴイ世界では無かった」って思うかも。
そう考えると、到達できるのは一握りの人だけなんだけど、
「俺は無理」って思わないで行動は起こさないとね。
 
ただ・・・本質を見抜く力は絶対必要だと思う。
夢は大きく。
そして現実から目をそらすな。

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