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凄いショットは凄いバウンド[てにすまん 高西ともブログ]

投稿日時:2012/06/29(金) 09:08

ショットの質を上げようと、皆毎日しっかり
練習していると思う。
そりゃそうだよね。
ショットの質が上がれば、ただ相手と打ち合って
いるだけで相手を追い込むことが出来て、チャンスに
なる可能性が高くなるんだから。
でも「ショットの質」って一体何を指すんだ?
 
一番に思い浮かぶのはやっぱり「パワー」、
スピードかな?
でもショットの質ってスピード以外にもっと大事な
要素があるんだよ。
それは「バウンド」なんだよね。
バウンドがレベルアップすると、バウンドしたばかりの
ショットが打ちにくくなるということだ。
例えばトップスピン系のストロークのバウンドの質が
上がるということは、よりバウンドがより高く弾むということに
なり、スライス系の場合はバウンドした後の伸びが
よりしっかり伸びていくということになる。
そうなると、踏み込んでライジング系で打ちたいって
思っている人はちょっと踏み込みづらくなり、結局
下がって待ってしまうということになりやすい。
バウンドの質を上げることは、相手の攻撃的なショットを
封印するということに繋がるんだよ。
 
俺がスペインに行った時、世界ランキング200位台の選手と
練習をしたことがあった。
その時、単なるベースラインとベースラインでストロークラリーを
打ち合っただけなんだけど、もう返すだけで精一杯に
なったのを今でも覚えている。
一見ゆっくりに見える彼のショットなんだけど、そのショットには
かなりのトップスピンの回転が掛かっているので、想像以上に
バウンドするんだよ。
単なる速いショットだったら、タイミングを合わせやすいが
バウンドが高く弾むと、スピードよりも合わせるのは厄介だね。
 
皆も相手ショットがしっかりと伸びてくるスライスだと
踏み込みにくいって思ったことない?
それを利用してアプローチなんかでスライスは使われる。
踏み込んでしっかり打つことが難しいと、相手も良いパスを
打ちにくくなるからね。
 
じゃあそのバウンドの質を上げるためにはどうすれば
良いかと言うと、ボールの回転量を増やすことだ。
でもただ回転量を増やすだけじゃダメだ。
トップスピンもスライスのアンダースピンも縦の回転が
必要となる。
そのためには体の向きをしっかり横に保つこと、
スィングは前後よりも上下動を意識して行うことが大事。
 
それから当然回転量が増えた分だけ、ボールのスピードは
失速するわけだから、フルスィングはするけどそれは回転の
ためであってスピードを出すためじゃない。
だからエースを狙ってばかりいる人は、
バウンドの質が上がりにくい。
相手と打ち合うことを前提にしないとバウンドの質は
上げられないから気を付けよう。
打ち合うけど相手は踏み込んで打てないんだから
有利にラリーを進めていけるはずだから、バウンドの
質を上げるってことは、ディフェンスの時や相手と
互角に打ち合いながら、チャンスを引き出す時に有効な
ショットって言える。
相手が取れないショットではなく、相手が取りにくいショットが
打てるようになるんだよ。
これって試合の中で重要でしょ?
 
バウンドの質が上がれば、ゆっくりのショットでも相手は
攻撃しにくくなるどころか、下がってくれたりする。
先程も言ったように、アプローチで利用したり、
自分が苦しい状況の時に、次の攻撃を妨げたりすることに
繋がるよ。
アプローチで速いショット、苦しい場面でもパワーショットを
打っている人は、逆にカウンター食らったりミスしやすいでしょ?
バウンドの質を高める練習をしっかりね。

忘れられない社会人デビュー戦[てにすまん 高西ともブログ]

投稿日時:2012/06/28(木) 02:00

高校卒業して18才で入社したテニスコーチの会社には
選手兼コーチとして試合に出場しながらコーチ業をしている
人がたくさん在籍していた。
入社する前に面接で上京したときにも、色んなコーチと
練習させてもらったんだけど、全然歯が立たなかった。
これは凄い環境に身を置くことになるな・・・と気合入れて
入社したんだけど、初めてちゃんと1セットマッチで試合を
させてもらったのは、入社して1週間も経たないある日曜の
午後だった。
 
相手は誰かというと、先輩も先輩、大先輩のコーチで
俺より20才も年上の方。
おまけに身長がかなり低いし、使っているラケットもかなり
古いときた。
「ん?高西って言うの?よろしく。」
温厚そうにニコニコしているこのおじさんコーチを見て
俺は「この人には勝てる」そう思った。
試合前のアップの段階でもさほど速いショットは打たない。
俺の方が何倍も迫力あるぜ!!とばかりに、練習の
段階で俺のパワーショットを見せつけてやった。
 
しかし・・・実際試合が始まると、見事なまでに完敗。
6-0で負けたんだけど、取ったポイント数も数ポイント。
デュースにも持ち込めなかったのだ。
ま、見た目は小さくて古臭いラケットを持っているオジサン
なので、一見弱そうに見えるのだが、実際には
ベテランテニスでしっかり全日本に出場するほどの
実力を持った方で、単に俺の見る目が無さ過ぎたってのもある。
しかしその方、その試合後に今やった試合のことで話を
してくれたんだけど、そのテニスの話が素晴らしかったのだ。
 
試合後、俺の悪いところを徹底的に言われて怒られると
思っていたら、その方、叱るどころか自分の欠点の話を
ずっとしてくれたのだ。
例えばフォアハンドが弱いから、無理させないでしっかりと
ロブだけはきっちり上げられるようにしておいた・・・とか、
速いショットが打てなくて困っているから、何とか自分の
ショットを速く見せようとスライス混ぜるなどして、色々
工夫してみた・・・とかね。
とにかく自分には欠点がたくさんあるから、それを
どう扱うか考えてプレーしたということを聞かせてくれた。
 
その話、とても素晴らしかったのだが、25才を過ぎる
頃になってやっとジワジワ心の中に染みてきたのだ。
それまでは自分の長所をいかに伸ばし、それを見せ付けて
戦うことばかり考えてやってきた。
でもテニスってそれも必要だけど、当然長所があれば
短所もある。
その狙われる短所をどう扱っていくか・・・が大事だし、
その短所が簡単には崩れないというのは、実は長所が凄いって
ことよりもポイントに結びついたりするのだ。
 
でも、残念ながら入社して初のマッチ練習を、完膚なきまでに
叩きのめされて0-6で終えた俺は、そんなありがたいお話を
頭の中で噛み砕いて理解するほど余裕はなく。
「なんでこんな人に負けたんだ!見てろ!俺のフォアを
もっと強いショットにしてやる!!」って思っていたんだよ。
全く短所と向き合い、それをどう扱うかなんて考えもしなかった。
ま、そういう事も大事だけどね。
 
でも、その時に感動してすぐ取り入れたこともある。
それはその時俺に話をしてくれた態度。
メチャクチャなテニスやって、結局ミスばかりだった俺は
「絶対怒られる」って思っていた。
しかしそんな俺に対して、「もっとこうやれよ!!」っていう
言い方ではなく、「俺だったらこうするんだけどね」って
いう感じの伝え方。
命令口調ではなく、一つの提案をしてそれを選んでもらう
というやり方は、アドバイスを受ける側としてはとても印象に
残ったのだ。
 
テニスは見た目じゃない・・・というのも学んだし、
オジサンって手強いんだって事も理解した。
とにかく、上京して初めてのマッチ練習は多くの事を
学ぶことが出来た記念すべき戦いでありました。

最先端テニスをマスターすると強くなるのか[てにすまん 高西ともブログ]

投稿日時:2012/06/27(水) 11:25

テニスはどんどん進化していく。
俺が小学生の頃、父がよくテレビでマッケンローや
コナーズ、レンドルの試合を観ていた。
「これがテニスか・・・」
そう思っていたけど、高校でテニスを始めた時には
ベッカーやエドバーグがまた違ったテニスを
披露してくれた。
子供の頃から観ていたテニスよりもスピードアップ
しているけど、まだまだ個性的なスタイルが残る。
 
高校卒業してテニスコーチになり、本格的に選手を
目指す頃になると、アガシやサンプラスの活躍で、パワーと
戦術が際立ち、そしてムスターやカフェルニコフ、そして
その後ブルゲラ、クエルテンなど、しっかりとした安定感と
手堅いフットワークを兼ね備えた選手が目立っていた。
しかしそこからビッグサーバーがどんどん出始め
それに対してレシーブ技術が上がり、今やどの選手も
サーブ、ストローク、ネットプレーと、オールラウンドで
何でもプレーをこなすようになっている。
女子の選手もパワーストロークだけでなく、サーブのレベルは
どんどん上がっているし、ネットプレーでのプレッシャーも
当たり前となってきた。
 
この先、どんなテニスに発展するのだろうか。
そのテニスを先読みして、今から先回りして練習しておけば
もしかしたら世界で活躍出来る選手が生まれるのだろうか?
いや、残念ながらファッションとかと違って、流行りのモノを
先取りしたからといって、それで世界に行けるとは思わない。
もし次に来るテニススタイルが予想できて、最先端のテニスを
知っていたとしても、選手として活躍することは難しいと思う。
なぜなら、新しいテニスを生み出していく選手達は常に
それぞれの時代のテニスに適応しながらプレーし続け、
その中で新しい必殺技を開拓していったのだから。
 
テニスのスタイルが大きく変わる時、その影響を大きく
及ぼした選手がいる。
ボルグのトップスピン、コナーズのアグレッシブストローク、
ベッカーのサーブ、エドバーグのネットプレー、サンプラスの
サーブを主体にしたオールラウンド、アガシのカウンター系ストローク。
どの選手も特徴的なテニスでチャンピオンになり、その後の
選手に大きく影響を及ぼした。
しかし彼らも、それぞれ活躍した時代に主流だったテニスを
しっかりと受け止め、その中で自分の得意スタイルを
上手く使うことが出来た。
言い換えれば、得意ショットや意表を突いたプレーだけでは
結局安定した戦績を残して勝ち抜いていくことは
無理だってことだね。
そんなの新しいテニスではなく、単なる変わったテニスである。
今、その選手が活動しているカテゴリーのテニスをしっかり
受け止められる懐の深さを持ってないと、最先端のテニスを
見付け出しても何にもならない。
 
でもこれは、世界のトップで活躍している選手だけの話じゃない。
どのレベルの選手でも、やっぱり自分の得意なショットや
自分が憧れるスタイルをプレーの中で使っていきたいと思うでしょ?
皆を驚かすようなショットを頑張って練習している人もいるだろう。
でもそのショットを使う前に、今自分が出場している大会や
普段一緒に練習している他の選手達のテニスをちゃんと
受け止められる?
今の状況から逃げるために新しいテニスを得るんじゃなくて
まずはその世界の選手達と堂々とガッツリ組んでから
必殺技を使えるようにしないとね。
最先端テニスを知り、その先を予測することは重要。
でも今自分が存在するカテゴリーのテニスを受け止めろ。

ネットプレーに不可欠な「イン?アウト?」の判断力[てにすまん 高西ともブログ]

投稿日時:2012/06/26(火) 11:20

かつてボレーが苦手だった俺は何とか頑張って
ボレーを上達させたいと、当時試合中に何度もアプローチして
ネットプレーを果敢にトライしたもんだ。
もちろん技術的にも未熟だったから、ネットに出たけど
ボレーミス・・・なんてパターンが多かったけど、
それ以上に酷かったのは判断のミス。
相手のパッシングショットがちょっとでも浮くと
「あれ?アウトかな?」って思ってウォッチした結果
実は入っていたということがとても多かった。
 
でもその判断ミスの殆どが「アウトかな?」って言うより
「アウトだったら良いな・・・」という弱気な心が原因。
技術的にも「決める」ということに自信が持てなかったから
どうしても弱気になってしまい、ちょっとでも浮くとアウトを
願わずにいられなかったのだ。
でもその前に「決めないといけないんだ」って思ってること
自体が問題だね。
現在はネットプレーが大好きになんだけど、今は
「決めなくても良い」って思いながらネットにどんどん
出ている。
もちろんチャンスがあれば決めるけど、基本的には
相手を焦らせてミスをもらおうとする作戦としてのネットプレー。
そう考えてネットに出ると、浮いた相手ショットを冷静に見て
それがコートに入るのかどうかを見極めやすくなった。
 
ポジションにしても、「決めたい」と思うとよりネットに
近づきたくなってしまう。
それもまた相手ショットがインかアウトか判断しにくくする。
プレッシャーを掛けることを目的としてネットに出た場合
焦らずジワジワ詰めていくので、ドン詰めは少ないから、
比較的相手ショットが入っているのかどうかの判断は
しやすくなるのだ。
当然ロブの対処もしやすいから手堅いしね。
 
でもインかアウトの判断力を付けるのは、結局はどれだけ
ネットプレーを経験したか・・・・だね。
沢山ネットプレーを経験して、何度も判断しながらその結果が
どうだったか検証していけば、自ずと一瞬で相手ショットが
コートに入っているかどうかが正確に分かるようになるよ。
でもね、それをし続けるためにはやっぱりネットプレーヤーの
心得をちゃんと理解し「決め急がない」という事を考えて
おかないと、何度も何度もネットプレーをトライできないんだよ。
 
とにかく相手ショットが入っているかどうかの判断は一瞬で
出来ないといけない。
ストロークみたいに一度バウンドさせてから判断というのは
無理だから、瞬時に判断できるようにしておけるようにしたいもんだ。

あんちゃんという後輩[てにすまん 高西ともブログ]

投稿日時:2012/06/25(月) 10:57

あんちゃんと呼ばれる後輩がいる。
以前俺が勤めていたテニスコーチの会社の後輩で、
俺が1年間スペインで選手活動した後派遣先として
新たな本拠地となった昭和の森テニスクラブで
最初にマッチ練習をしたのはあんちゃん。
その時は帰国してから殆ど練習できていなかったことと、
スペインに行っていた事で気合が入り過ぎて、空回り気味
だったことで、タイブレークまでもつれるという展開に
なってしまったけど、さほど上手い選手ではなかった。
でも人なつっこくて真面目な性格の彼とは気が合って
毎日のように遊んでいた。
 
そんなあんちゃんとは練習もしょっちゅうしていた。
帰国直後のマッチ練習は競ったけど、その後は殆ど
相手にもならない感じ。
精神的にも不安定だし、ショットもさほど目立つものを
持っていない。
下手ではないけど、それ以前にテニスに対して熱い
気持ちなんかも感じられないから、彼のテニスに関しては
そんなに今後のプレーは楽しみでは無かったし、
彼自身も自分には期待はしていない感じではあった。
 
しかしその後会社のナンバー1だった俺のテニスを
遥かに上回る選手が新たに入社して、その彼も昭和の森に
配属となった。
俺とあんちゃんとその新しい選手とはすぐ仲良くなり、
3人で一緒に遊ぶだけでなく、当然練習も行なったし、
遠征にも行くようになってくると、徐々にあんちゃんの
心の中にも「俺も選手として活躍したい」という気持ちが
芽生えてきたように感じた。
 
あんちゃんと出会ってから2年後、俺が2回目の
スペイン選手活動をして日本に帰国すると、あんちゃんも
「スペインに行きたい」と言い出した。
練習もトレーニングもストイックに頑張り始める。
元々真面目な性格なので、のめり込むと人一倍頑張る彼は
性格までちょっとピリピリし始めた。
そしてお金を貯めて彼も1年間のスペインテニス留学を
実現させたのだ。
 
帰国後、彼のテニスは大きく成長していた。
俺もそうだったんだけど、まずしっかりとディフェンスを
覚えたあんちゃんは手ごわい相手となっていた。
もともと足も速かったし、器用な一面もあったから、
走り回りながらランニングショットで鋭いパッシングを打つなど、
カウンター系のショットが磨かれたあんちゃんは、
試合でもどんどんランキングを上げて、遂には
俺の最高ランクを抜いて全日本ランキングも50位台まで
上がっていった。
 
練習では俺とたくさんマッチ練習したあんちゃんだけど、
一度だけ試合で対戦したことがある。
相手を切り崩してポイントを重ねるパターンを用いる俺の
テニスだが、その時は何をやってもあんちゃんを崩せなかった。
それはあんちゃんが完璧だったのか、それとも後輩のあんちゃんに
負けたくないという感情が邪魔して俺自身が力を発揮
出来なかったからなのか、とにかく結果は惨敗。
若い頃キレまくった思い出は多いが、その歳になってから
感情が爆発するような悔し過ぎてキレまくった試合は、
この時だけ。
それくらい、彼に追いつかれ、そして抜かれていった事を
試合中に見せつけられたことが悔しかった。
 
でもその頃にはあんちゃんのテニスは多くの選手達に
認められていたし、俺自身も皆に「あんちゃん強くなったよ!!」
って言っていたんだけど、まだまだ心の中では「認めたくない」
って思ってたんだね。
こうやって本番の試合で見せ付けられてやっとそのくだらない
俺のプライドが剥がれ落ちた。
でもその試合で惨敗するまでは、そのくだらないプライドが
あったおかげで、あんちゃんが急激に伸びている時期に、
俺もあんちゃんに負けたくないって思って成長できた気もする。
最後は抜かれたけど、結局は彼の存在に感謝すべきことは
多いって今では感じている。
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